テーマ「脳神経外科の未来を駆動する分子医学」
第27回日本分子脳神経外科学会
会長 荒川 芳輝
京都大学大学院医学研究科 脳神経外科学
このたび、2027年7月30日(金)・31日(土)の2日間、京都産業会館ホールにおいて、第27回日本分子脳神経外科学会を開催させていただくこととなりました。本学会は、その前身である「脳と免疫」研究会を母体として1999年に日本分子脳神経外科研究会として設立され、2001年には日本分子脳神経外科学会として発足しました。以来、日本の脳神経外科領域における基礎研究、トランスレーショナルリサーチ、さらには分子診断・分子標的治療の発展を牽引してきた、歴史と伝統を有する学会です。このような由緒ある学会を京都の地で開催させていただくことを、大変光栄に感じております。
京都での開催は、2008年に橋本 信夫先生が会長を務められた第9回学術集会以来、19年ぶりとなります。この間、脳神経外科を取り巻く分子医学は飛躍的な進歩を遂げました。脳腫瘍領域ではWHO分類の分子診断体系への移行により、疾患概念そのものが大きく変化しました。さらに、ゲノム解析、エピゲノム解析、シングルセル解析、空間トランスクリプトーム解析などの技術革新に加え、AIを用いたデータ統合解析が急速に進展しています。これらは単なる研究技術の進歩にとどまらず、診断、治療戦略、予後予測、創薬へと直結し、脳神経外科診療そのものを変革しつつあります。
分子医学の進歩は脳腫瘍に限らず、脳血管障害、てんかん、神経再生、機能性疾患、脳免疫、さらにはBrain-Machine Interfaceやデジタル医療など、多くの領域へと広がっています。脳神経外科は、外科手技のみならず、分子病態を理解し、それを臨床へ橋渡しする学問へと進化しています。まさに分子医学は、未来の脳神経外科を駆動する原動力となっています。そこで本学術集会のテーマを、「脳神経外科の未来を駆動する分子医学」といたしました。本テーマには、分子医学が脳神経外科の新たな診断・治療を切り拓き、次世代医療を推進する中心的役割を担うという思いを込めています。同時に、本学会がこれまで培ってきた基礎研究重視の精神を継承しつつ、新しい技術や異分野融合を積極的に取り込み、未来へ発展していく場にしたいと考えております。
本学術集会では、脳疾患の分子病態研究、免疫・微小環境研究、AI・データサイエンス、創薬・トランスレーショナルリサーチ、先端画像解析、再生医療など、多岐にわたる最新研究を議論できるプログラムを企画しております。また、若手研究者や大学院生、留学生にも積極的に参加いただき、次世代を担う研究者育成の場となることを期待しております。さらに、産学連携や国際共同研究の推進を通じて、日本発の新たな分子脳神経外科研究を世界へ発信したいと考えております。歴史と文化の街・京都において、全国の先生方と活発な議論を交わし、新たな共同研究や学術交流が生まれることを心より願っております。多くの皆様のご参加を、教室員一同、心よりお待ち申し上げます。
© 2026 The 27th Annual Meeting of the Japan Society of Molecular Neurosurgery